旧国鉄157系の製作
1.製作にあたっての方針 |
・20年以上前に、いつかはとカワイ製の157系の未塗装ボディ6輌を購入しておりました。 ・この数年、運転会がほぼ定期的に開催されるに及んで日の目を見るときがやってきました。 ・さらに塗装済みの完成品5輌を追加購入し、さらにサハを1輌加え12輌となりましたので、編成を2本とし朱色の準急日光が赤色特急ひびきとして活用される過渡期(昭和34−35年頃)をイメージして、それぞれを製作することとしていたところ、T氏からクモハ+モハのユニットを譲り受けることもできました。 ・これによって、それぞれ単独の運転として楽しむことにしました。またこの間、フェニックス製クロ157も購入していましたので、編成を崩してお召し列車としても運転できるようにします。編成のイメージは以下です。日光編成にもサロが必要ですが、手持ちの中ではひびき編成に2両を充当しました。(後日製作途中で準急車用のサロを入手しました。) 準急色(日光) → クモハ157+モハ156+サハ157(or クロ157)+モハ156+クモハ157 特急色(ひびき) → クモハ157+モハ156+サハ157+サロ157+サロ157+モハ156+クモハ157+モハ156+クモハ157 ・実写の資料は手持ちの書籍からとインターネットより取得しましたが、昔は走行写真が多く屋上の写真が極めて少なくというよりほとんどなく、特にモハのパンタ周りは魅力的なのですが解明できず推測が30%くらい入っています。 |
2.前作業 ・塗装の剥離から床板の作成、床下器具の準備などを行います。 |
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・これは途中で購入した車両は塗装済みですが、全車塗装レベルを揃えるためにいったん塗装を剥離します。 | ・3月21日、まだ寒い曇り空の中でリムーバーで薄剥離を行いましたが、経年が影響してか頑固なものが残りました。翌週改めて剥離を行いました。 | ・カワイ製車輛の床板は木製ですので車体下端と床板がツライチになるため、床下機器板を取り付けられるよう金属板に取り換え、必要な穴をあけます。ボルスター、ドローバーの車体との取り付け用の穴、動力側の穴、床下ステップの穴など、6mm、3mm、2mm(タップ)、1.7mm(タップ)などさまざまです。 |
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・床下機器はほとんどがエンドウ製ですが、モハ用はMPギア使用を想定した造りのため、厚みのない薄っぺらなものですので、裏側に木板を切ってパテで段差を埋め厚みを持たせています。 |
・左をつや消し黒で塗装したものです。 |
・同様に水管、トイレ流し管、台車もつや消し黒で塗装します。 |
3.車体の再生 ・車体はもともと組み立て完成品ですが板厚0.4ミリのため薄く、何箇所かのへこみを修正しながらグレードアップを施してゆきます。 |
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・まず側面のオリジナルの雨樋を剥がし、0.4mm厚の帯板に張り替えます。 | ・キャンバス止めは上記のように真鍮板ではさんでハンダ付けしました。幌もエコー製EC用とするために上下に1mmの取付穴をあけています。 |
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・妻板にはステップ穴を0.4mmで空けるためのジグを1mm厚の板で、サロ・サハ用1枚、モハ用2種1枚の計2枚を作成しました。 |
・穴あけは上記のように1箇所を空け0.4mm真鍮線を差込み固定して、はさみで両側固定しずれない様に一気にあけてゆきます。 ・ステップの数は全車両で約200個に及び、途方もない穴あけとなりました。この間複数のドリル刃を無駄にしました。 |
・元々何も無かった妻板に、キャンバス止めと縦雨樋を貼り付けます。 | ||
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・ダンパ取付及びダクト取り付け用のジグも作って、穴をドリルで開けます。 | ・モハでは妻板以外に屋根にもステップがつきます。カワイ製品の特徴である、”幌受け”も後で切り落とします。 | ・出来上がりのイメージは上記で、この段階ではエコー製のロスト製ダンパを使う予定でしたが、ハンダ箇所が狭くハンダ付けがうまく行かないため、カトー製に変更しました。 |
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・モハの妻板のパイピング設置部分を残して、全車に一通りステップをつけ終わりました。 | ・こちらは屋上のベンチレーターを外したのち、残った取り付け穴をハンダで埋め、クーラー付車輛には蓋を剥がします。 | ・これはドアのクツズリです。些細なパーツですが意外と効果が出ます。運転室と客室用がありますが、ともに車体の厚さに対して0.2mmほど厚いので削っているところです。これも12輌分で運転室分をいれ約60個あります。 |
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・ボテッとしたクモハの先頭部をどうしようかと迷い、1輌を思い切って手すり、ヘッドライト、テールライト、タイフォンをヤスリで削ってフラットにしたサンプルを作りました(右端のクモハ)。 |
・やってみて先に進めそうでしたので、他の3輌も思い切って削ってしまいました。ヘッドライト穴は0.5ミリ上部に削り、取付ます。 | ・一旦フラットにした窓下は中央線を出した後タイフォン、テールライト、連結栓などを取り付けますが、ヘッドライトは元の位置から0.5ミリあげて取り付けます。 |
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・これが出来上がりです。手スリ(0.4mm線)、ライト類で顔がシャープになりました。この後譲渡されたユニットのクモハも加えて同様に仕上げました。 |
・窓下の手すりを加えて”顔”の最終段階。 |
4.屋上の処理 ・屋上では、全車共通としてベンチレーター1個につき取り付け穴2個をあけます。 ・クーラーはひびき編成車のみとしますが、完成品では位置が違っているため、正しい取り付け位置に2mm穴をあけ、 日光編成車は揃っていないクーラー準備の蓋をいったん剥がし、再度整えてハンダ付けし直します。 ・モハのパンタは日光編成では1個、ひびき編成は2個とします。 |
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・クーラーはトミックス製のAU12ですが、取り付けた状態で屋根との間に1mm程度の隙間がほしいのでプラ板で”足”を両側に瞬間接着剤で接着します。7輌分で40セット余りです。 | ・”足”を取り付けた後、脱脂洗浄してプライマーを吹き、グリーンマックスのNo9ねずみ1号を塗装します。 | ・同じ様に接着するベンチレーターやダンパにもプライマーを吹き付けました。ベンチレーターはグリーンマックスの9ねずみ1号を塗装します。ダンパは車体色クリーム4号を塗装しましたが材質の関係で結局はがれます。 |
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・ベンチレーターとクーラーの穴設置の様子です。ベンチレーターの穴あけにはマジックを塗って穴位置をケガいています。 |
・クーラー車にクーラー取付穴をあけた後2mmのビスを屋上裏から半田付けします。 | ・パンタのランボードもオリジナルを剥がし、フジモデル製に取り替えました。 | ||
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・運転室屋上の通風器(?)も実写同様浮かせるために一旦外して四方に”足”を設置し、取り付け用のネジ台を貼り付けます。 |
・屋上の穴あけが終わったところで、パンタ周りのパイピング待ちの段階です。 | ・こちらは運転室屋上の通風器を仮止めしたところ。 | ||
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・モハのパンタ導線は他の車両にはない特徴的なもので、如何に現実的に作るかが課題で、なかなかまとまりませんでした。これは先行サンプルですが、”足”の不安定とハンダが多くなった失敗例。 |
・再考して数ヵ月後、1mmの真鍮線に帯板を巻いたものを、コの字型の足に貼り付ける方法で対処します。 ・真鍮線の巻帯と、支える”足”を別パーツにしたかったのです。製品では、同型の真鍮打ち抜きのパーツが片側にのみついていました。 |
・まあまあの出来上がりです。足が1個のものは当初から設定されていたパンタ側の導線です。 | ||
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・パンタ準備側の導線を車体に設置してイメージを見ます。資料によるとのちにパンタを設定する予定がありましたので、初期のパンタ非設置側にも付いていました。 |
・反対側、当初から設定されていたパンタ側の導線です。 | ・パイピングを終えた妻板の様子で、特急用の両パンタ車です。パイピングの留め板は0.3mm幅帯板です。微妙に妻板との間に隙間を作っています。 | ||
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・パンタ台や避雷器をつけ、パンタ付近もにぎやかになります。パンタ台が水平になるよう裏側を屋根のカーブに合わせヤスリで削っています。 |
・こちらは左の反対側で、パンタ準備側ですがこの車両は両パンタ車ですので避雷器や、パイピングも設置しています。 | ・貫通幌はエコー製のホワイトメタル製で幌はねずみ1号、枠は手塗りのクリーム4号。 | ||
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・クモハのライトはLEDによる基盤を作成、本体に取付け、スイッチのついた床板とは接触式にします。 |
・狭い運転室下部に取り付けるため、取り付け板に設置。 | ・床板にあるピン2本と、基盤の真鍮板が接触できるように車体に設置します。 |
5.クロ157の製作 ・このクロ157はフェニックス製です。 先頭部とボディ部を張り合わせる構造ですが、先頭部の接着部にはプレスによる反りがありますのでヤットコで修正しておき接着を始めます。 |
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・先頭部にはヘッドライト、テールライト、タイフォン、幌枠、運転窓のHゴムが別パーツです。 ・このうちタイフォン以外はハンダ付けです。ライト類は先頭ドア部と先端がツライチのためご覧のように板に当てながら半田をつけてゆきます。 |
・先頭部を車体に接着した公式側です。客室ドアにクツズリをハンダ付け済み。 | ・同じく反対側です。 | ||
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・一通りボディが出来上がりました。 ・屋上はプラ製のクーラーにホワイトメタルでできたクーラー類が付属していますが、クーラーとガーランドベンチレーターを付属パーツより大きいトミックス製の485系用に変更します。 |
・出来上がった先頭部には手スリを設置済み。妻板部は統一感のためオリジナルではなく、エコーの幌用の穴あけ済み。 |
6.塗装 ・塗装はクレンザーで全車脱脂洗浄し、プライマー(スプレー製品)を吹きます。脱脂洗浄には花王のホーミングクレンザーを20年以上前から使っています。洗剤入りのクレンザーで汚れと磨きが同時に行われます。 ・塗料はすでに済んでいるクーラーとベンチレーターがねずみ1号(No9、GM製)、屋根はクーラーとベンチレーターとは違うグレーにしたく、軽快なイメージで日光編成を明るいグレー(ジェイズのNo21)、少しどっしりしたイメージでひびき編成を濃いグレー(ジェイズのNo19)。車体は日光編成をジェイズの気動車色(No7)、ひびき編成をジェイズの特急色(No15)、全車共通でクリーム4号(ジェイズのNo16)です。 |
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・全車両を脱脂洗浄して、乾いた後にプライマーを吹きます。アサヒペンのメタルプライマー用スプレーです。クモハの先頭屋上にあるダクトもねずみ1号に塗るためはずしてプライマーを吹きます。 |
・最初はクリームを吹きます。 | |||
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・次にマスキングして赤系を吹きますが、この時は窓下も一気に吹き上げるつもりでしたが失敗しました。 | ・従って先頭車は、いったん塗装をはがして赤系は別途塗ることとし、クモハの窓下の朱色を残して、準急車の塗装が終わりました。他の車両も全車同様に塗装をかけます。 |
・窓下の赤系を塗り終えたところで、この後はみだしのタッチアップ処理を行います。 |
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・窓周りのアルミサッシにはタミヤのクロームシルバーを手塗りするため、個々の窓をマスキングします。エナメル系塗料は失敗しても、ふき取って塗り直しができところが良いところです。 |
・特急車のサロの窓周りが出来上がりました。 この後各車に窓ガラスを入れます。 |
・完成したひびき編成のモハ156車体。 |
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・完成した特急車と準急車のサロです。 | ・細かいところまでは完成していませんが、完成したボディと下回りを組み立てて、レールに乗せてみました。 |
・レイアウトに乗せた準急車と特急車(右側)。 | ||
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・目標とした先頭車の正面も、以前のイメージから変わりました。”JNR”文字はエンドウ製です。 ・準急車は特急車に先駆けて2009年11月22日の運転会に登場しました。 |
・パンタ周り、妻のイメージも満足です。 | |||
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・ひびき編成のクモハ157 |
・同じくクモハとユニットを組むモハ156 | ・同じくひびき編成のサロ157 | ||
・動力MP化について 2016年10月にインサイド式から、MP式に動力を変更しました。 MP化に際しては、余り手間をかけずに移行することとし、手持ちのMPや床板、床下(M車は元々エンドウ製でMP対応品)などを、できるだけそのままに移行しました。 昨年11月の運転会でテスト、今年の2月の運転会に本格運転できました。 |
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◎主な使用パーツなど |
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パーツ名 | メーカー名、品番 | 用途など |
1.0×0.4o厚帯板 | KSモデル製 | 雨樋 |
1.2×0.4o厚帯板 | KSモデル製 | 妻板縦雨樋 |
1.0×0.2o厚帯板 | KSモデル製 | パンタ配管留め |
0.3×0.15o厚帯板 | KSモデル製 | パンタ導線止め帯板 |
1.0o真鍮線 | − | パンタ配管 |
0.4o真鍮線 | KSモデル製 | 屋上、妻板ステップ |
33mm×1.0mm厚真鍮板 | エコーモデル製 | 全車の床板 |
避雷器 | エコー製#1639 | モハ用 |
キャンバス止め | フジモデル#810 | 全車 |
パンタグラフ(PS16) | 天賞堂製 | モハ用 |
パンタ取付碍子ビス | エンドウ製#2010−3 | モハ用 |
パンタ台 | エコー製#614 | モハ用 |
パンタランボード | フジモデル#891 | モハ用 |
AU12クーラー | トミックス製HO−R24 | ひびき用 |
ベンチレーター | トミックス製(一部カトー製)) | 全車 |
妻面ダクト | エコー製#2615 | クモハ、モハ用 |
ローリングダンパ | カトー製 | 全車 |
車側表示灯(赤) | トミックス製DC181系系余り部品 | 全車 |
車側表示灯(白=透明) | フジモデル#993 | 全車 |
JNRマーク | エンドウ製 | クモハ用 |
ホロ枠 | エコー製#1661 | 全車 |
乗客扉クツズリ(700o) | フジモデル#920 | 全車 |
運転室扉クツズリ(500o) | フジモデル#927 | クモハ用 |
車体床下ステップ | エンドウ製#5906 | 全車 |
トイレ流し管 | エコー製#721 | 全車 |
水管 | エコー製#720 | 全車 |
ドローバー | カワイ製 | 全車 |
ジャンパ栓 | エコー製#2646 | クモハ用 |
ジャンパ栓(2連閉) | エコー製#1605 | クモハ用 |
ジャンパ栓(2連開) | エコー製#1606 | クモハ用 |
ヘッドライト | フジモデル#982 | クモハ用 |
テールライト | エコー製#1723 | クモハ用 |
タイフォン | エコー製#1621 | クモハ用 |
床下機器 | エンドウ、カワイ製 | 全車 |
台車取り付けボルスター | 日光製(M以外) | 全車 |
台車(DT23、TR59) | 日光、カワイ、エンドウ製 | 全車 |
塗装 | ||
クーラー・ベンチレーター | グリーンマックス#9(ねずみ1号) | |
屋根 | 特急色:ジェイズ#21(ねずみ1号) 準急色:ジェイズ#10 (濃灰色) |
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車体 | 特急色:ジェイズ#15(赤2号)/ジェイズ#16(クリーム4号) 準急色:ジェイズ#7(赤11号) /ジェイズ#16(クリーム4号) |
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ダンパ | ジェイズ#16(クリーム4号)/TAMIYA XF−1(フラットブラック) | |
Hゴム | TAMIYA XF−66(ライトグレイ) | |
窓サッシ | TAMIYA X−11(クロームシルバー) | |
幌枠 | 枠:ジェイズ#16(クリーム4号)、幌:ジェイズ#21(ねずみ1号) | |
床下・台車 | アサヒペン艶消し黒 |
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